40代・50代で体力が落ちた理由とは?加齢による筋力低下を徹底解説

40代と50代で体力が落ちる理由を徹底解説

「最近、階段を上るのがつらくなった」「すぐ疲れるようになった」と感じていませんか?

私自身、40代を過ぎた頃からこうした変化を実感するようになりました。朝目覚めても疲労感が抜けず「昔はもっと元気だったのに…」と感じることが増えたのです。

40代・50代になると、こうした体力の低下を実感する方が増えてきます。それは単なる“年のせい”ではなく、加齢による筋力低下や運動不足など、いくつかの理由が重なって起こるものです。

本記事では、40代・50代の男女が体力の衰えを感じる背景にある科学的な原因を、信頼できるデータをもとにわかりやすく解説します。「なぜ体力が落ちたのか?」という疑問をしっかり理解することで、正しい対策や習慣改善の第一歩が見えてくるはずです。

なぜ40代・50代で「体力が落ちた」と感じるのか

多くの人が実感する“体力の衰え”とは、具体的にどのような変化を指すのでしょうか。

40代に入ると「階段を上ると息が切れる」「翌日に疲れが残る」といった変化を感じる人が増え、50代になるとそれがより顕著になります。夜にしっかり眠っても疲れが取れにくく、回復力の低下を実感するケースも少なくありません。こうした体力の低下は、加齢による筋肉量や基礎代謝の減少、持久力の低下が複合的に関係しています。

さらに、客観的なデータもこの変化を裏付けています。文部科学省「体力・運動能力調査(令和元年度)」によれば、40代以降の握力や持久力は年齢とともに明確に低下する傾向があります【※1】。また、厚生労働省の「健康日本21(第二次)」では、40〜50代の約6割以上が運動習慣を持っていないと報告されています【※2】。このようなデータは、加齢と運動不足の両方が体力低下に深く関わっていることを示唆しています。

加齢による筋力の低下とは?

「体力が落ちた」と感じる主な原因の一つに筋力の低下があります。では、筋肉はいつから、どのように減り始めるのでしょうか。

筋肉は何歳から減り始めるのか

筋力の低下は突然始まるものではなく、実は30代を過ぎた頃からゆるやかに始まります。特に40代から50代にかけては、加齢による筋肉量の減少が加速しやすく、多くの人が「体力が落ちた」と実感するようになります。厚生労働省の資料によると、下肢筋力は40代から明確に低下傾向を示し、日常生活の中で「つまずきやすくなった」「長く歩けなくなった」といった変化が起こりやすくなると報告されています【※3】。こうした筋力の減少は、見た目だけでなく、健康寿命や生活の質(QOL)にも大きな影響を及ぼします。

筋力と体力の違いを理解しよう

「筋力」と「体力」は混同されがちですが、実は異なる概念です。筋力とは、筋肉がどれだけの力を出せるかを指し、体力はその筋力を含む身体全体の持久力や回復力などを含んだ広い意味の言葉です。筋力が低下すると、階段の上り下がりや荷物の持ち運びが困難になり、結果として「体力がなくなった」と感じるようになります。つまり、筋力の衰えは体力全体の低下につながる重要な要素であり、見過ごすことのできない変化といえるでしょう。

「サルコペニア」とは?中高年に増える筋力減少症

近年注目されている「サルコペニア」とは、加齢に伴って筋肉量と筋力が著しく低下する症状のことです。特に中高年以降に発症しやすく、運動機能の低下や転倒のリスクを高める原因になります。大正製薬によれば、サルコペニアの主な要因は加齢だけでなく、運動不足や栄養不良も関係しており、軽い運動やたんぱく質摂取による予防が推奨されています【※4】。40代・50代のうちからこの変化に気づき、早めに対策を取ることが、将来的な健康維持に大きく寄与します。

体力低下の主な原因は加齢だけじゃない

疲れた後ろ姿のサラリーマン

体力の低下は、単に年齢を重ねるせいだけではありません。日々の生活習慣も大きく影響しています。

運動不足による筋力の衰え

加齢に伴う変化だけでなく、運動不足も体力低下の大きな要因です。特に40代・50代は仕事や家庭の忙しさから運動習慣が途切れやすく、それが筋力の衰えを加速させる原因となります。厚生労働省の「健康日本21(第二次)」によれば、40〜50代の6割以上が「運動習慣がない」と回答しており、これは筋力低下と直結する問題です【※2】。筋肉は使わなければ徐々に減少していき、日常生活での疲れやすさや体力の持続力の低下に影響します。

睡眠や栄養の乱れが体力に与える影響

睡眠と栄養も体力維持に欠かせない重要な要素です。睡眠が不足すると、筋肉の修復や成長に必要な成長ホルモンの分泌が減少し、結果として疲労の回復が遅れます。また、バランスの悪い食事はエネルギー不足や筋肉量の減少を引き起こすリスクを高めます。特にたんぱく質の摂取量が不足すると、筋肉が作られにくくなり、筋力の低下につながります。日本人の食事摂取基準(2020年版)でも、40〜50代のたんぱく質摂取量は推奨量に届いていない人が多いことが示されています【※5】。

ホルモンバランスの変化と基礎代謝の低下

40代以降はホルモンバランスの変化も顕著になります。男性ではテストステロンの減少、女性では更年期に伴うエストロゲンの低下が、筋力や代謝の低下に影響を及ぼします。こうしたホルモンの変動は、筋肉の合成効率を下げ、体内のエネルギー消費量(基礎代謝)も落ちやすくなります。その結果、体力が落ちたと感じる場面が増え、疲労が蓄積しやすい体質へと変化していくのです。これらはすべて、加齢とは別に見逃せない体力低下の要因といえるでしょう。

体力が落ちたと感じたときのチェックポイント

自分の体力の現状を把握することは、改善への第一歩です。日々の変化に気づくためのセルフチェックから始めましょう。

疲れやすさ・回復力でわかる体力低下のセルフチェック

40代・50代に入ると「疲れがなかなか抜けない」「ちょっと動いただけで息切れする」といった変化を感じる人が増えてきます。これは、加齢による筋力の低下や代謝の低下、回復力の衰えが影響している可能性があります。また、普段の生活の中で「以前と比べて明らかに体がきつい」と感じる場面があれば、それは体力の低下のサインかもしれません。

昔だったら、寝れば仕事の疲れなんて無くなりましたし、運動しても筋肉痛なんて次の日には治ってました。けど、段々と疲れが取れなかったり、筋肉痛が治りにくくなったりと、そんな違和感から体力が落ちてきたなと私自身思い始めたんです。

以下は、自分でできる体力低下のセルフチェック項目です。

体力低下のセルフチェックポイント
  • 以前よりも疲れが長引くようになった
  • 階段を上るだけで息が切れる
  • 長時間歩くと腰や膝が痛くなる
  • 朝起きても疲れが取れていない
  • 風邪を引いた後の回復に時間がかかる
  • 体を動かすのが面倒に感じるようになった

これらに2つ以上当てはまる場合は、体力や筋力の衰えが進行している可能性があります。

筋肉量・歩数・体重の変化から見る体力の衰え

自覚症状だけでなく、数値で変化を把握することも重要です。体力の低下は、筋肉量や基礎代謝の減少として現れやすく、体重や歩数、体脂肪率などにも影響を及ぼします。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査(令和元年)」によると、40代以降の日本人の1日の平均歩数は年々減少しており、50代では特に顕著です【※6】。また、運動不足により筋肉が落ちると、体重は変わらなくても「体脂肪率が増加」「筋肉量が減少」といった“隠れ肥満”のリスクも高まります。

数値の変化で体力の低下を実感できる主なポイントは以下の通りです。

数値で見る体力低下の兆候
  • 体重の微増または急減(筋力低下または基礎代謝の低下)
  • 筋肉量の減少(体組成計などで測定可能)
  • 1日の歩数が5000歩未満に減少(活動量の低下)
  • 体脂肪率の上昇(筋肉量の低下による)

これらの数値を記録・管理することで、自分の身体の変化にいち早く気づくことができ、体力維持・改善の第一歩になります。

この調査を通じて、自分自身も“ただの加齢”と思っていたことが、実は生活習慣の影響も大きかったと気づかされました。

まとめ|まずは「現状を知ること」から始めよう

40代・50代になると、誰しも体力の衰えを感じるタイミングがやってきます。「疲れが抜けない」「階段がつらい」といった日常の違和感は、加齢や生活習慣の変化、筋肉の減少などが複雑に絡み合った結果です。放っておくと、体力低下は知らないうちに進行し、日常生活の質にも影響を及ぼす可能性があります。

しかし、体力の衰えは「気づいた時が改善のチャンス」です。まずは自分の状態を正しく知ること。セルフチェックや数値の記録、厚生労働省などの統計データを参考にしながら、ぜひ自分の体と向き合ってみてください。

本記事では、「なぜ体力が落ちるのか」という疑問に対して、加齢による筋力低下や生活習慣の乱れ、ホルモンバランスの変化など多面的な視点から解説しました。次回の記事では、こうした体力低下にどう向き合い、どのように改善していくか――特に、40代・50代におすすめのサポートガジェットなども含めて詳しくご紹介していく予定です。

まずは、今の自分の体の状態を知ること。すべてはそこから始まります。

出典

【※1】文部科学省「令和元年度 体力・運動能力調査(成人)」
【※2】厚生労働省「健康日本21(第二次)中間評価報告書」
【※3】厚生労働省「体力の衰えにより」
【※4】大正製薬「サルコペニア(筋肉減少症)」
【※5】厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
【※6】厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」

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